Thursday, May 26, 2011

The following is the original script in Japanese, spoken by Mr. ISHIBASHI, Katsuhiko at the Committee to Audit Administration in the 177th session of the National Diet on 23rd May 2011.

2011523日、第177回国会、参議院・行政監査委員会
参考人 石橋克彦(1944年生まれ 神戸大学名誉教授 )

私、2005223日、第162回国会、衆議院予算委員会の公聴会に出席して、警鐘を鳴らしたつもりだったのですが、残念ながらこの国会の中では、それが響かないで役に立たなかったようで大変残念に思っています。ということを最初にちょっと言わせていただきます。

今日の私の意見が多少なりともお役に立てばよいと願っています。
福島第一原子力発電所の大事故は、大津波によって非常用ディーゼル発電機が全部作動しなくなり、全電源喪失が起こって冷却ができなくなったからだといわれているが、実は、津波の前に地震の揺れそのものによって重大事故が発生した可能性がかなり大きいと思います。
これは非常に重要なことですが、ことさら何かそれに触れないように社会の中ではされている感がありますのでここで強調しておきたいと思います。

田中三彦さん(元原子炉製造技術者)が、すでに、4月の初めに発売された岩波書店「世界」の中に書いているし、4月の末に発売された「科学」の中でも書いていますけれども、地震の激しい揺れにより、1号機では配管の損傷がどこかで生じたであろう、それによって冷却材の喪失が起こった。つまり冷やすという機能が喪失した。この冷却材喪失が、メルトダウンにつながったという推定です。
田中さんの議論は東京電力から公開されているデータ、圧力容器の中の水位、圧力、それから格納容器の中の圧力、そういうデータを詳細に点検されての議論です。
2号機では、地震の激しい揺れによって、圧力抑制室に損傷が生じた可能性が大きい。これは、閉じ込める機能が喪失されたわけです。これで放射能も漏出するし、水素が漏れ出て、それが2号機の水素爆発につながったのであろうと田中さんは主張しています。

私は、地震学が専門ですけれども、地震学的にも冷却材喪失は十分あり得ることです。東京電力から公表されている原子炉建屋の一番下の基礎盤というところの揺れが、耐震設計で想定している揺れより、2号機3号機5号機の東西方向の揺れではオーバーしています。それから、これはさらに分析してみなければ正確なところは解りませんけれども、地下の記録でも耐震設計の基準とする地震動をオーバーしていた可能性があります。ただ、想定より超えた度合いは、2007年の柏崎刈羽のときに比べると、それほどはなはだしくはないが、超えていること自体非常に重要ですし、今回、地震学的に非常に注目すべきことは、振動の時間が非常に長かったことです。マグニチュード9.0という、地下で地震波を出している時間がとても長くて、3分間ぐらい地震派を出していました。それを受けた福島第一原子力発電所の揺れも、非常に長時間続いたために、長時間の繰り返し加重によって損傷を起こしたことは十分考えられます。
一方、非常に重要なことは、福島第一原子力発電所は、2009年に原子力安全・保安院と原子力安全委員会によって耐震安全性が確認されています。つまり、止める、冷やす、閉じ込めるという機能がちゃんと備わっていると認められたわけです。しかし、今回の事故により、耐震安全性の確認が誤りであった可能性が大きい。これは、まだ断定はできませんが、この問題は非常に重要ですから、厳重に議論する必要があります。ところが、今のところは、そこを何となく避けているようです。何か聞くところによると、本日、東京電力から何か発表があるみたいで、津波が来るまでは、配管の破損などは生じなかったというような発表があるようなことをちらっと聞きましたけれども、とにかくこれは、公開の場で厳重に議論されなければなりません。想定の揺れをすでに超えていること自体、2006年に改定された耐震設計審査指針に問題があることを意味していますし、それから、もし、重大事故が地震の揺れで起こったとすればなおさらのこと、全国の原発の耐震バックチェックが20062007年以降行われていますが、その審議プロセス、及び結果、その信頼性が失われるわけで、全部やり直す必要がでてきます。

2番目ですが、330日、原子力安全・保安院が電力会社に、全国の原発について、津波の緊急安全対策をするように指示を出しました。これは、全国の原発が福島第一原発のような大津波をこうむって、全交流電源喪失という事態になっても大丈夫なように緊急安全対策をしなさいということで、全国の電力会社は、電源車を用意したり、高いところに応急的な貯水槽を設けたり、ホースをたくさん用意したり、それを操作する訓練をしたりして、これで安全性が格段にあがったというようなことが言われていますが、この一連の事態は、非常に大きな問題を含んでいます。問題は、2つありまして、ひとつは、先ほど言いました第一点の問題を無視していることです。津波対策だけすれば大丈夫ということではなく、耐震設計審査指針を見直して、バックチェックもやり直さなければ安心とはいえません。2つめの問題としては、原子力安全・保安院自らが全国の原発で、大津波と全電源喪失ということを想定しなさいといったわけですけれども、そういうことを想定すること自体が原子炉立地審査指針というものに反しています。原子炉立地審査指針が資料3に1枚紙で付いていますが、これは、一連の安全審査指針類の一番もとに来るものでして、昭和39年に原子力委員会が決定したものです。原子炉立地審査指針の基本的な考え方として、原則的立地条件として、「万一の事故に備え公衆の安全を確保するためには、原則として次のような立地条件が必要である。大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかったことはもちろんであるが、将来においてもあるとは考えられないこと、また災害を拡大するような事象も少ないこと。」こういうことが原則的立地条件として必要であると謳っているわけです。ところが、大津波とそれによって、全電源喪失という大きな事故を全国の原発で想定しましょうということですから、これは驚くべきことです。そんなものは、立地の条件に反しているわけです。そもそも人間の良識というか常識から考えて、大津波をかぶる恐れのあるような場所で原発を運転するということ自体、私は正気の沙汰ではないと思います。これは、あたかも真冬に暴風雪警報が出ている北アルプスへ6070歳代の熟年ツアー登山をやろうと言っているようなもので、とてもおかしい。ようするに、たかが原発です。たかが発電所なわけです。例えば、遭難した漁船を救うための巡視船なら、どんな荒波でも航海しなければならないが、発電するために何もこんな危ないものを大津波のあるところで頑張って運転することはないと私は思います。

3番目は、原子力安全・保安院と原子力安全委員会というものが、現状では、残念ながら原発擁護機関になっています。福島第一原子力発電所の事故、3.11以降を見ていてもそうですが、2人の参考人(小出裕章さん、後藤政志さん)からもそういうお話がありましたけれども、私が直接関わった例としては、2007年、柏崎苅羽原発が新潟県中越沖地震で被害を受けて、全7機が止まったことがありまして、そのとき、私は新潟県の小委員会の委員として議論に加わっていました。東京電力は、運転再開に向けて何人かの研究者から存在が指摘されていた柏崎苅羽原発の沖あいに存在する海底活断層、この非常に長大な海底活断層を無視しました。東京電力は、長さ36kmの断層だけ、その一部分だけを取り上げて、そこにマグニチュード7.0の地震を想定しました。しかし、可能性として、もっと長大な60kmくらいの長いものがある可能性がある。そういうものは、原発の場合は、安全サイドに立って、当然考慮しなければいけないが、東京電力は、それを無視しました。これは、ある意味、原発耐震偽装といってもいいことでして、詳細は、資料4に書いてあります。そういうことを、原子力安全・保安院、原子力安全委員会も率先してというか組織的に行ったわけです。私は、そのことを岩波書店の「科学」という雑誌に書いたのですけれども、さらに毎日新聞の一般向け投稿欄に投稿しました。ところがそれに対して、原子力安全委員会は、発言責任のある書いた私には何も言ってこないで、毎日新聞社に対し、あの記事はおかしいから訂正しろ、取り消せというようなことを言った。そういうことまでありまして、非常に問題であると思います。実は、こういう原発を擁護することについては、非常に多くの地震地質の専門家、研究者が加担しています。海底活断層を無視することに加担している。これは、日本活断層研究会という学界のシンポジュームのときの議論などでも、あからさまにそういうことが出てきました。こういう状況は、研究者の倫理ということもありますが、もっと根深くは、政府系の研究機関、あるいは、国立大学、有名旧国立大学、そういうとこの研究者が加担せざるを得ないような構造的な問題があります。反対意見があっても良心的な人はせめて黙っているぐらいしかできないとう構造があります。これは、国民にとっては、非常に不幸なことです。

それから、4番目は、そもそも日本列島は、地球上で最も原発建設に適さない場所です。世界中の地震をプロットすると、地球上では地震というのは、線上ないしは、ベルト上に発生しているわけですが、非常に活発な地震活動のベルトの中に日本列島は、全域がすっぽり入ってしまうわけです。面積では、日本の国土と領海と排他的経済水域の一部を合計した場合、地球の表面積の0.3%弱ですが、その範囲内に地球の全地震の約10%が集中しています。こういうところには、そもそも原発は造るべきではないのです。それは、欧米では、常識的なことです。ドイツやアメリカにおける原子炉の規制の条件や、日本だったらゴミ扱いされるような小さい活断層が問題になって原発が実際に閉鎖されたという例をみても、もし、フランス人やドイツ人が日本列島に住んでいれば、彼らは、絶対にこんなところに原発は造らないであろうという常識的なことです。日本が異常だと思います。(1)から(4)に示したように、非常に基本的な原発と地震に関する条件というものがありまして、そういうことを考えれば、地震列島における原発は、制御された安全の範囲で大丈夫だから運転しようというのでは困るのです。本質的な安全でなければ日本列島の上に住んでいる人間にとっては、全く不幸であって、本質的安全というのは、原発が存在しないことだと思います。これに関して、資料に漫画があります。昨日、思いついて私が急いで描いたのですが、こういうことでも描かなければ、あまりにもわからない、特に、経済界の人、あるいは、政治や行政に関わっている人、それから、そういう話を聞いている一般国民、どうもまるでわかってないらしいということで描きました。(原発にナマズが付いている漫画)原発というのは、本質的には世界中で同じ問題をかかえています。小出裕章さん(1949年生まれ 京都大学原子炉実験所助教)、後藤政志さん(芝浦工業大学非常勤講師)から指摘があったような深刻な問題があります。ですが、私、地震学をやっている人間として、現実的なことを考えると日本の原発は、フランスやドイツの原発とは違います。何が違うかというと、日本の原発は、地震付き原発です。フランスやドイツと同じ原発があって、それを日本列島に建てた場合、たまたま近くで地震が起こるかもしれないよ!なんて、そんな生易しいものではなく、日本の原発は全て、まるで、おんぶお化けみたいに地震がくっ付いているわけです。地震とセットになっているわけです。ですから、地震付き原発なんてものは、あっては困る。そういうことです。したがいまして、今後、新設、増設というのは、やめてほしい。建設計画中のものもやめるべきでしょう。耐震設計審査指針に不備がある可能性が非常に高いと、さっき言いましたけれども、現に不備がある。基準地振動の策定に不備があったわけですから、再改定しなければいけないという議論もありますが、もう新設、増設をしなければ、設置許可のための指針はいらなくなるわけで、私としては、むしろリスク評価のための指針、あるいは、安全運転を管理する保安のための指針というものを厳重に作りなおした上で、早急に第三者機関を設立して、日本列島の全原発に関してリスク評価をし、順位付けをして、リスクの高いものから順に今あるものも閉鎖していくということを真剣に考えなければいけないと思います。筆頭は、浜岡原発ですが、これは、津波対策が完了するまでとりあえず閉鎖なんてものではなくて、永久に閉鎖する必要があります。というのは、東海地震による地震の揺れ、大きな余震の続発、地盤の隆起変形、それから大津波、これらすべて恐ろしいのでありまして、津波対策さえすれば大丈夫というものではありません。私、2009年に新政権が誕生した時に期待を込めて浜岡原発を止めてほしい、原発震災を回避することが新政権の世界に対する責任であるということを書きましたけれども、残念ながらそれは、福島第一原発事故の悲劇を経験したあとでなければ実現しなかった。手をこまねいていれば、薬害エイズやBSE問題を超絶した不作為の大罪を犯すことになるだろうと2009年に私は書きましたけれども、結局、不作為の大罪を犯してしまったことになります。これは、決して現在の政府の責任だけではなくて、27年間の歴代の政府が積み重ねてきた国民に対する、あるいは、世界に対する罪であると思います。それからもう一つ、浜岡以外の原発は大丈夫というようなことが言われていますが、とんでもないことです。若狭湾の原発を初めとして、日本全国に危険な原発はたくさんあります。それらについて早急に点検をして順次閉鎖に向かっていくことが必要です。

最後にひとつだけ、そうは言ってもまだ我々は、当分の間、原発に付きあっていかなければなりません。止めたからといってそれで安全なわけではなく、使用済み核燃料が原発に保管されている。それをあと何十年も安全に管理しなければいけない。その間には地震が起こるでしょう。そういうことで、原子力災害対策特別措置法や、原子力防災指針、それによるEPZの範囲などは早急に改めなければなりません。
最後に紹介したいのは、アメリカのコネチカット州で出ている冊子ですけれども、20ページくらいの冊子がニューヨークの北東にあるコネチカット州で出ています。「コネチカット州原子力発電所非常事態対策ガイド」というものです。平常時からこういうものが原発の近隣住民に漏れなく配られていて、そこには、非常事態とはどんなものであるか、つまり、私たちは、安全なように原発を運転していますが、それでもなおかつ非常事態が生じるかもしれませんということで、非常事態とはどういうものか?屋内待避を指示されたらどうするか?避難移動を指示されたらどうするか?子どもが学校保育所に行っている場合はどうするか?そういうことが簡潔ですが、漏れなく記されています。こういうものが常時配られているわけです。それから、電話帳にもちゃんと避難場所が出ています。そういうことを日本では何もしてこなかった。今回、福島第一原子力発電所の周辺住民に対しては、いきなり、避難しろ、飯館村なんて40何キロ離れていても急に出て行け、牛も置いてゆけ、あまりにもひどいわけで、これからは早急にこういうものを原発周辺の人々に配る必要があると思います。
以上です。

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